Le Chevalier du Lion d'Or

ル・シュバリエ・デュ・リオンドールで起こる日々の出来事・・・
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Le Chevalier du Lion d'Or


ふと…懐かしい人の夢を見た。


あれから30年近く経つというのに…
いや、それにしても…


「どんな場所でも微睡む癖というのは…変わらないものらしい」


頬杖をつき手紙を持ったまま眠っていたらしい自分に自嘲の笑みがこぼれる。
だがしかし、今はイアンに指摘されないだけマシか。
まだいくらか重みを感じる瞼から薄暗く広がった視界の中に、あの読書好きの幼馴染はいないとわかった時、私は安気な学生などではなく、大層な名前を全身鎧のように着込んだこの館の主なのだと認識した。


「この手紙のせいかな…」


息子達から届いた二通の手紙を一瞥する。


三男のアルヴァと四男のエミールは現在、私が通っていたヘイスティングスに在籍している。
いや、正確には私も、私の父も、私の祖父も通っていた。そして上の二人の兄弟達もだ。つまり私の知る限りドーソン家に生まれた男子は例外無く、という事なのだ。
爵位を持つということが不意に滑稽に感じられるいい例だろう。


だがそんな父親の思惑をよそに、この二人はけっこう学園生活を満喫しているようだ。
…兄弟で同じ学園に通うというのはどんな気分なのだろうか?
あるはずの無い過去を想像して、再び懐古の念が押し寄せてくる。


それにしても…兄弟とはいえまるで違うものだ。


文章自体が支離滅裂である事も少なくないが、年相応の溌剌たるエネルギーに満ちあふれ多彩な表情が見え隠れするアルヴァの文面に対し、自身を決して過大評 価することの無いエミール。その文面は常に客観に徹していて彼自身の近況を伝えてきているはずなのに、どこかこちらの様子を窺っているようにも見える。


手紙から視線を外し、ぼんやりと中空を見上げる。
上二人の場合はどうだったろうか。


長男のダニエルは勤勉で、彼が学生だった頃の輝かしい実績は親族達を大変喜ばせたものだ。
そんな彼からの手紙は理路整然としていて、読むものに不満や不安を与えなかった。…近況を知らせるというよりは、仕事の報告を受けているような気分だったな。


次男のクライドは…手紙を貰うというより、こちらが手紙をやって尻拭いをする事が多かったか。


我が家の恥晒しが、などとは無論言える筈も無く、まぁ私も父親の気持ちがわかるようになったのだと得心して苦笑する。


壁にかかった柱時計に目をやる。
あと五分といった所か。
それでは父親らしく、また名家の主らしく、たまにはヘンリーが来る前に仕事を済ませてしまおうか。
執事からの報告を待つだけなら、猿でもできることだし、な。
| 当主 サリヴァン・ブラッドリー・ドーソン(故人) | 07:25 | comments(0) | - |

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