Le Chevalier du Lion d'Or

ル・シュバリエ・デュ・リオンドールで起こる日々の出来事・・・
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思惑


―――歯車が一つ。孤独に回っていた。


他にはいくつもの歯車があるが、繋がっていないのか静かに静止していた。
そのいくつもの歯車の先には固く閉ざされた扉。

繋がらなければ永遠に閉ざされたはずの扉。
決して知りえないはずの扉の向こう側。


だが――その足りない歯車が、今、何者かによって繋がれた―――


果たして彼らは開かれた扉を前にどうするのだろうか?
どうする?―――いや、答えは既に出ている。

何故なら他の扉は既にないのだから―――





さて、我ながら順調に事が進んでいる。ことエミールに関しては。
真実を知った彼はもはや自制心が崩れ、彼の中の選択肢が極端に狭まったはずだ。
そうなれば、あとはもう時間の問題だ。

そう、彼は私のもとへ必ず戻ってくる。
そうでなくてはならない。

―――すべては、あの方の思惑通りに。




だが、ここに来てイレギュラーな事態が起きた。


サリヴァン・ブラッドリー・ドーソンの死・・・
クライドに感づかれることはマリカの存在の時点で既に想定はしていた・・が。
まさか、サリヴァン様がお亡くなりになるとは・・


亡くなられた?―――いや、殺されたの・・か?


だとすると、一番に疑われるのはまず長男のダニエルだろう。
ここのところ独断で行動することが多々見られる。
それどころか水面下でドーソン伯爵家やマードック伯爵家の人脈や権利を全て握ろうとしているフシもある。
今回のパーティーにしてもドーソン家の息のかかった貴族たちばかり集められていた。



権利をすべて握るなら最高の舞台だ―――



―――が、どうにも腑に落ちない。あまりにも出来すぎている。

サリヴァン様を殺せばダニエルとしては優位に動くことは確かだ。
だが、そうまでする必要性が果たしてあったのだろうか?
しかも、これではまるで自ら殺人をしたと自白しているようなものだ。

しかし、だとすると一体誰が?何のために…



―――もしや、既に我々は何者かの手のひらで踊らされてるのでは?





・・・今はまだ答えが出ないだろう。だが、いずれは。
一先ず報告しなければならないことが山積みだ。

私は手紙という名の報告書に向き合い、思考を巡らせていた間に止めていたペンをまた、走らせた。
| 従僕 コナー・ファーガス・グランディ | 07:45 | comments(0) | - |
 

―つい先日のことだ。

パーティーに向けて各フロアのチェックをしていると、突然ナオミさんが訪ねてきた。



「コナーさん?こちらにいますか?」

「―はい。何か?」



振り向くとそこには一通の手紙を持ったナオミさんの姿があった。
その手に持っている手紙を見てすぐに察した。

―あぁ。そろそろ頃合ということか。



「コナーさん宛の手紙が届いていましたので、直接渡そうかと・・・」

「これは、わざわざありがとうございます。」



受け取ったその手紙には、もはや見慣れた書体と封筒。
差出名が書かれてなくとも、誰からの手紙なのかはすぐに分かる。

・・・もっとも、あの方以外に私宛ての手紙なんて来る事もないだろうが。



「・・・あの・・・」

「・・・?―何か?」



するとナオミさんは何かを言いたそうな顔で私と手紙を見比べていた。

―――!

すぐに気付いた私は自然とそのまま言葉を重ねた。



「―あぁ。実は私、故郷に恋人がいまして。お恥ずかしながら、このように二週に一度は文通をしているのですよ。」

「まぁ!そうなのですか・・?」

「えぇ。あまり会う機会も少ないので、こうしてお互いの近況などを書いているのです。・・ご迷惑でしたか?」

「とんでもない!・・・随分と恋人を愛してらっしゃるのですね・・・羨ましい限りです!」

「いえ・・」



嘘を付くには真実に少々の嘘を加えることにより現実味が出てくるという。
そのことに関して、板についてしまった私は考えるよりも先に自然と口に出る。


―本当の私はどこへ行ってしまったものやら。


このまま話を続けるのはさすがに限度がある。適当に切り替えそう。
そう感じた私はすぐに照れ隠しとも取れる行動を取った。



「・・・それでは、私はまだフロアのチェックが済んでおりませんので、これで失礼致します。
手紙を届けていただき、ありがとうございました。」

「いえ!こちらこそ足を止めてごめんなさい!・・どうか恋人を大切になさって下さい。」

「ありがとうございます。それでは・・」






ナオミさんが去り、再び静寂になったフロアの窓に光が差し込む。
窓に近づき、その窓に広がる秋模様の光景を見て、いもしない恋人に呟いた。



―故郷・・か・・・。


| 従僕 コナー・ファーガス・グランディ | 16:00 | comments(0) | - |
嵐が近い


―ドーソン伯爵家主催のパーティーまで3週間を切った。



名門貴族に恥じぬよう一層華やかなパーティーにするため
使用人は皆、早い段階で通常業務とパーティーの準備に追われる。

当然、私もその一人ではあるが。



今日は各食器のチェックとすぐに使えるよう準備をする。

本来は館内全ての食器を使うわけではない。
しかし、パーティーともあれば使う食器も増える。
また、不測の事態に備えてどの食器も使えるように・・
というのがこのチェックの意味だ。

私はすぐさまキッチンへ向かい、奥の食器棚へ足を運んだ。



食器棚に着いて、すぐに目に入ったのはその食器の量。
そして一つ一つチェックをしていると、使いもしない派手で高級な食器ばかりが目に付く。

さすがはドーソン伯爵家。
このような所まで名門貴族に恥じぬ、見栄を張られるのですね。

などと、軽く心の中で毒を吐く自分に苦笑しつつ
慎重に扱いながら食器のチェックに勤しんだ。




そういえば・・あの方から手紙が届いていた。
思えば、内容から察するにあの方は・・・・

ふと、チェックが済んだ食器に顔が映り込んだ。


・・・・笑っている・・?

すぐに自分の顔が映り込んだと気づき、その場で手を顔に当てた。



フ・・・これでは私も、あの方と一緒だな・・・・
| 従僕 コナー・ファーガス・グランディ | 05:54 | comments(0) | - |
気になる存在


 ―――そう。ある人物に私は興味をもった。



ドーソン伯爵家4兄弟の次男。クライド・ハンニバル・ドーソン。



名門・キングス・カレッジ・オブ・ヘイスティングスに入学。
監督生を経た後、学園を卒業。
現在は仕事もせず、親の財産を湯水のごとく使い、朝から晩まで遊びまわっている様に見える。


・・・だが、その行動の中に時折、驚くほど計算された規則性を見出す姿を見せる。

しかしそれを表立って見せることはない。
それどころか他の住人には悟られない様にワザと遊び人を演じてるかのように。


これは私の憶測だが・・彼は恐らく、自身のルールに従って一方向を見据えているのだろう。

そう、問題なのはその一方向。
他の誰にも知られるわけにはいかないその一方向、いわば目的は一体何であるか。



フフ・・・実に興味深い。

とくと見させてもらおうか、その野心を。




しかし、以前のメーベルさんとの会話には少々ヒヤリとした。

まさか思っていたことが口に出ていたとは・・失念だった。
しかしあの様子だと感付かれてはいないだろう。
だが、これからは気を引き締めないといけない。マリカの存在にも気になるところではある。


それにしても、あの「コナー・クライド」「クライド・コナー」というのは一体どういうことなのだろうか・・
確か恋占いの話だったはずだが・・しかし、同性同士では成立しないはず。
妄想とは言ってはいたが、一体どんな妄想をしていたのだろうか。


・・・・理解し難い。

| 従僕 コナー・ファーガス・グランディ | 02:09 | comments(0) | - |
日常/異変
 

とある昼下がり―


いつものようにゲストルームのチェックをしていると
耳に馴染んだ声が廊下から響いてくる。


あぁ・・またですか・・


しっかりとした口調で淀みなく喋るメイド長のナオミさんは真面目な方だけあって、
やはり自由気侭なメイドのアメリアさんとは相容れない存在なのでしょう。
こんな風に衝突することもしばしば・・
というよりアメリアさんが一方的に叱られていることの方が多いようです。


アメリアさんも決して仕事ができないわけではないのですが
あの性格ですからね。
ついつい、ナオミさんの神経を逆撫でするようなことを言ってしまうようです。


老婆心ながら一言助言を・・などと考えてしまう自分に思わず苦笑しながら
首を振りサイドテーブルの花瓶に手を伸ばした。


新人メイド―


ふと飛び込んできたその単語に思わず手が止まる。


話には聞いてはいましたが、これからどこも忙しくなるという
この時期に新人とは・・
しかも、以前はあの名門と謳われるヴェルニエ伯爵家で
お仕えしていたという。


どうにも腑に落ちない。



まさか・・・いや・・・



湧き上がる疑念を打消しながら花瓶の位置をなおした。



私は私の仕事を全うするだけだ―



そう・・・私はドーソン伯爵家のしがない使用人。
コナー・ファーガス・グランディ。
| 従僕 コナー・ファーガス・グランディ | 14:42 | comments(0) | - |

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