Le Chevalier du Lion d'Or

ル・シュバリエ・デュ・リオンドールで起こる日々の出来事・・・
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黄金の輪
 

秋の心地よい風が木々の枝葉を揺らす

それは深緑からセピア色へ移りゆく時を知らせる大地のざわめきのようにも聞こえ

腰を下ろしセイロン・ウバの香りを嗜んでいた私の背中を急かすように吹き抜ける



フッ・・・のんびりしてはいられないな。




今、ドーソン伯爵家は三男アルヴァ様と四男エミール様の帰省と

再来月に開催されるパーティーの準備で慌ただしくなっている。



御兄弟が四人揃われるのはいつ以来だろうか?


実直勤勉で現実主義の長男ダニエル様

一見放蕩に見えて強かな戦略家の次男クライド様

お父上そっくりで負けず嫌いの三男アルヴァ様

常に冷静で優しいが、鋭い分析力を持つ四男エミール様



この館で生まれ、同じ学校に通い、同じ生活を送っているようで、全く違った個性の四人の御兄弟。

その立ち並ぶ様はドーソン伯爵家の輝ける未来を暗示する輪のようで・・・

今では父君サリヴァン様も目を細めておられるに違いない。




思えばこの館には多くの思い出を残して、いろんな人々が集い、去っていった。

様々に去来する想い。



しかしそれも全てはドーソン伯爵家の繁栄あったればこそ。だ。



秘書ブリジットは今やダニエル様の片腕として実務を取り仕切るまでに頼もしく成長し、

フットマンのヒューイは明るくどんな仕事でも嫌な顔ひとつせずに引き受けてくれる。

コナーはまだここへ来て1年半ほどだが、控えめで皆の信頼も厚い。・・・ただ時折見せる表情に気になるものはあるが。


ナオミはメイド長として真面目な仕事ぶりで皆を取り仕切ってくれている。

メーベルは激しい感情をむき出しにすることもあるが実務に優れている。

アメリアは天真爛漫な明るいムードメーカーと言えようか。

あと・・・ヴェルニエ伯爵家から来るというメイド・・・マリカと言ったか・・・

あのヴェルニエ伯爵家から来るのだ。ただものではあるまい。




個性的な面々に支えられこのドーソン伯爵家は繁栄を続けている。

それは今までも、そしてこれからもだ。





パーティーの迎賓衣装や食器の手配も済んだ。

次は我が邸宅のシンボルである薔薇のチェックもしなければ・・・やることは山積みだ。



ポツ、 ポツ・・・



ん・・・・・雨・・・か。


風も吹いてきた。



フッ・・・今日はここまでということらしい。




そうだ。先ほど中断したセイロン・ウバを楽しむことにしよう。



私は濡れたジャケットを抱え自室へ向かう。



薄暗い燭台の灯りに照らされ魅惑的なメントールの深い香りが辺りを支配する。

喉を引き締めるほどよい渋み。

そして赤褐色の縁に浮かび上がる黄金の輪(ゴールデンリング)・・・


私にとって何物にも代え難い至福のひととき・・・
| 執事 ヘンリー・テオボルト・ワーナー | 06:46 | comments(0) | - |
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