Le Chevalier du Lion d'Or

ル・シュバリエ・デュ・リオンドールで起こる日々の出来事・・・
<< December 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 小姓のお勤め | main | 10:34 PM >>
Le conte de fée
 

アルヴァ様とエミール様が学園にお戻りになると、何だかお屋敷は少し静かになったよう…
来月の頭に開かれるパーティをはじめ、いくつかのパーティの準備に、皆、忙しく立ち回っている。
慌ただしいはずなのに、どこか静かに感じる。
次にお二人がお戻りになるのは、来月のパーティか…

そんなことを考えながら、図書室の前を通り過ぎると、ふと、エミール様を思い出す。

「狼と七匹の子山羊、かな」

以前と変わらず、本を沢山お読みのご様子だった。
どんな童話が好きだったか、そんなお話をした。

グリム童話……
同じお話でも、ペローのものとはだいぶ表現が違ったはず。

「これは、大人になってから…」
穏やかに微笑んで、そっと、私の手の届かない高い場所へ本をしまう、母を思い出す。
あれは確か
子供向けに直されていない、グリム童話……
確か、あの本の内容は……


なぜかしら。

あんなに穏やかにお話していたはずなのに、どこか、ずっと奥の方に、低くて静かな音を感じた気がする。
気のせいかもしれないけれど…

ふふ…
数学論者の言う表現ではないわね……



「ブリジット?」

 聞きなれた声に、振り返る。

「ダニエル様」

 表情こそ変えないけれど、何を言おうとしていたかが感じ取れる。

「只今、お部屋に伺うところでした」

 そうか、短く呟くダニエル様の後ろへつく。

「あ…」

 思わず小さく、声を漏らす。
 
「どうした、ブリジット」

 ほんのかすかに
 香りが動く。
 この香りは…

「いえ、何でもありません」
 静かに微笑んで答えると、
 再び歩き始める。

 
 イングリッシュラベンダー……


 香りの女王が、どうかダニエル様を守ってくださいますように。


| 秘書 ブリジット・マリヴォンヌ・サルトル | 07:09 | comments(0) | - |
コメント
コメントする










SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
モバイル
qrcode
LINKS
PROFILE
ADMIN