Le Chevalier du Lion d'Or

ル・シュバリエ・デュ・リオンドールで起こる日々の出来事・・・
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紺青の守り人


 ル・シュバリエ・デュ・リオンドール。


私がこの館に、ドーソン伯爵家に仕えて幾年月が過ぎただろう。

私の父も祖父も曽祖父もこの紺青に映える館をお守りしてきた。

もはや我がワーナー家そのものがこの屋敷の一部のように感じられる。




ヘンリー、この書類を父上のところへ届けてくれ。



今日も滞りなく執務は遂行される。もはや父上に取って代わろうかという仕事ぶり。

その評判は家の内外を問わず高く評価され、

このドーソン家を実質取り仕切っているダニエル様。


もはやダニエル様無しでは執務は立ち行かなくなるであろうし、

実質ドーソン伯爵家の家督を継承されているといっても差し支えない。

ずいぶんと頼もしくご成長されたものだ。


頼もしく・・・?


いや、違う・・・な。

どう言えばいいのか・・・


私の中で湧き上がりつつある違和感。いや、・・・疑念?


何を言っているのか・・・?


私はこのドーソン伯爵家の執事だ。それ以外の何者でもない。

そのようなことを考えていいはずがない。


この紺青の館の繁栄こそが私の全てであり、それを阻むものは容赦はしない。


そう・・・容赦は・・・。





ヘンリー、お前の考えを聞きたい。



放蕩を気取っているようで、其の実、物事の裏側をも見通す目をお持ちのクライド様。

しかしながら毎月当家に届く請求書の束には、もはや苦言を通り越して目眩さえ覚えてくる。


それでいて何も考えていないのかといえば、時折予想もしない大胆な発想に驚かされる。

この方こそがドーソン伯爵家の行く末を委ねられる器の持ち主なのだと思わされることがあるのだ。

私にとって最も興味深い存在であるといえよう。



私のこの疑念を解決してくださるのは、この方なのだろうか・・・?



それはまだわからない。

それがはっきりする時がこの紺青の館の行く末が決まる時なのだろう。


待とう。

時が満ちるまで・・・






ヘンリー!ヘンリー!どこにいるんだ!ヘンリー!




私は聞こえるはずのない呼び声に・・・ふと我に返る。

疲れていたのか・・・少し眠ってしまったようだ。



その声が響き渡っていた頃にはこの館も随分賑やかだったのだが、

今はアルヴァ様はエミール様とともにヘイスティングスに戻られ、館も落ち着きを取り戻している。



束の間の平穏。



現在この館には静かにゆっくりとだが、確実に暗雲が近づいている。

それが単なる雨雲で終わるのか、館を揺るがす大きな嵐となるかはわからない。


しかし、今後どのような事態になったとしてもお二人はお守りしなければならない。

荒れ狂う嵐に立ち向かうには今のお二人はあまりにも若い。



来月のパーティーにはアルヴァ様とエミール様が館にお戻りになる。

それまでに不安の芽は摘み取っておかねばなるまい。



しかし・・・・・


| 執事 ヘンリー・テオボルト・ワーナー | 23:30 | comments(0) | - |
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