Le Chevalier du Lion d'Or

ル・シュバリエ・デュ・リオンドールで起こる日々の出来事・・・
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当たり前の境界線


 「また、試されているのかな…」



自室の机にこれ見よがしに置かれた数枚の書類に目をやる。
退出する前には無かった筈のそれは、来月このドーソン家で催されるパーティーの招待客のリストだった。


手にとって幾度か目を通してみる。
おそらくこれを置いていったのであろうヘンリーの意図を注意深く探ってみるが、先だって見たものから何か変化があったとも思えない。



「…考えすぎか」



もしヘンリーに何かしらの目論見があれば、先日のように自らの手でオレを試すだろう。
こうして書類だけを置いて直接報告に来ないところをみると、やはりこれは回覧のようなものだと考えるべきか。


徒労と判断して苦笑が漏れる。
そうだ、この招待客を選んだのはあのお堅い優等生兄貴じゃないか。
リストを見渡しても今回訪れるのは、実力者というには程遠い羊頭狗肉の名門貴族や、中身があるとはいっても既に旧知の仲であるマードック家のヴィヴィアンやローズマリー…あるいはハウエル家のミックといった気心の知れた者達だ。


だが、馴染みの面々との再会は悪くない。
特にヴィヴィアンなどは輝くばかりの美貌を持つ絶世の美女、と社交界でも評判だ。
あのアルヴァを泣かせてばかりいた天真爛漫な少女が、どう変化したか見ものだな…。



「その時アルヴァはどんな顔をするんだろうな…いやぁ、それ以前にヴィヴィアンの前に出てくるかな?」



館内を右往左往する弟を想像して頬がゆるむ。
この部屋に逃げ込んてきたときはせいぜい、匿ってやるとしよう。


リストを仕舞おうと机の引き出しを開ける。
だが同じ引き出しに仕舞われた、同じような大きさの書類が目に留まった時、黒い煙のような違和感がわだかまりとなって胸につかえた。



「…変化?本当にヴィヴィアンだけなのか?変化したのは…」



何かを見落としている。
それが何かを即答できぬまま、記憶の中の幼いオレ達は黒くくすんでいった。
| 次男 クライド・ハンニバル・ドーソン | 07:31 | comments(0) | - |
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