Le Chevalier du Lion d'Or

ル・シュバリエ・デュ・リオンドールで起こる日々の出来事・・・
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面影の少年
 

漆黒の闇が広がり


静寂が支配する夜


紺青に佇む館





そしてそこにもう主はいない・・・






もう40年近く前になるのだろうか・・・

私は父に連れられて、この紺青の館に初めて足を踏み入れた。



薔薇が咲き誇る荘厳な門を抜け、

重厚な扉の向こうに広がる天蓋が

陽光に照らされて黄金に輝く様を

私は我を忘れて見入っていた。


その時、ひときわ響く少年の声が私を呼び止めた。




誰だ?お前は。




眩く輝くオリーブグレーの髪に

吸い込まれそうなほどに美しい瞳の少年が私を見上げていた。



少年は私より4歳年下ではあったが、

常に挑発的な態度で周囲を自らの世界に引きずり込んでいた。


生意気で無礼で刺激を追い求める少年に眉をひそめる者は多かったが、

その刺激的なエネルギーに満ち溢れた少年に私は瞬く間に心を奪われた。




時は流れ、少年はやがて青年になり、父親となり、そしてこの館の主となった。

私はその傍らに立ち続け、影となり支え続けてきた。



そう、あの日から、ずっと・・・








凍えるほど冷たい雨に打たれ

嗚咽と慟哭が谺する墓標の元

参列者に見守られ

あふれるほどの薔薇に覆われた柩の中で

静かに眠るサリヴァン様の御顔は



・・・遥か昔に出会った少年のそれだった。
| 執事 ヘンリー・テオボルト・ワーナー | 06:56 | comments(0) | - |
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